日本ガストロノミー協会の理事会有志メンバー4名でサン・セバスチャン最古の美食倶楽部のひとつ、カノエタンKañoyetan Sociedad Gastronómica を2019年4月16日(水)に訪問、親しく交流しました。

 

カノエタンは1900年から続く美食倶楽部。会員は130人ほどでサン・セバスチャン旧市街にある半地下スペースにある専用キッチンをシェアしています。会員のうち十数人ずつの小さいなグループがいくつも個別に活動していて、それぞれが使用したい日に集まって料理を作り、夕方までを過ごします。
カノエタン会員は60歳以上のリタイア組が中心。伝統的なスタイルが貫かれており、調理場に入れるのは男性だけです。
私たちが伺った日のグループは61〜86歳のみなさんのグループ。仕事を続けている人もいれば、早々に事業を売却して完全にリタイアしたという人も。
料理を作るのはそのうちの3人でしたが、グループ内で役割が決まっていて、テーブルをセットする人、食事中の料理をサーブする人、食後のカードの会のためにお皿を下げてテーブルを整える人など、誰かだけに過度に負担がかかるようなシステムにはなっておらず、ここでは社会的地位は関係なし。最古の美食倶楽部ということで過去には王室の方や政治家、名士などさまざまな有名人が訪れたそうですが、カノエタン・スタイルが最優先されます。
例えば食事時間。調理の準備は11時からスタートしますが、食事を始めるのはきっちり14時。調理した3人も含め全員がテーブルに着席するのを待ってから食事を開始するのがマナーとされています。なので、日本のようにお母さんだけが家族の食事のために台所とテーブルを行ったり来たりするようなことは決してなく、料理した人へのリスペクトを常に求められます。
この日も日本から訪問した我々日本ガストロノミー協会の柏原会長、相内と勝見の男性理事は簡単な打ち合わせだけでさっとそれぞれの調理をスタート。唯一の女性理事の綛谷は調理場外で調理を見守り、撮影記録する係に徹していましたが、キッチンの雰囲気は非常にスマート。居心地の良さは格別でした。

さて、そんな日の料理はこちら。
我々日本ガストロノミー協会の理事メンバーで合計8品。

ピーマンと雑魚昆布炒め、ほうれん草と高菜あさりのおひたし、鶏の照り焼き、さやいんげんの挽肉炒め、茄子とイカの煮物、豚汁、肉じゃが、麻婆豆腐うどん。

 


先方は生ハム、ロシアンサラダ、バカリャウのソテー、羊の牛乳プリン。

およそ2時間、ゆっくりとおしゃべりしながら、カノエタンのメンバーからたくさんの画像を見せていただきながら(時にはお孫さん自慢などを伺いながら笑)、楽しい時間を過ごしました。「これからもいつでも遊びにおいで」と温かい言葉をいただき一同感激。ぜひ東京・赤坂の我々のキッチンに来ていただきたいものです。

交流の証として、先方からは真紅のエプロン、こちらからは和包丁を贈り、料理を通じた交流は大成功をおさめました。

今後も当協会ではサン・セバスチャン、カノエタンとの交流を続けていきます。近い将来、サン・セバスチャンに協会の拠点を置くことも検討課題となりました。
協会の今後にどうぞご期待ください。

サン・セバスチャン/ドノスティアについて〜
スペイン北部、フランスの国境をまたいで位置するバスク地方。古くから独特の文化が花開き美食を誇る地方として全世界に名を轟かせています。サン・セバスチャンは、スペインバスク州ギプスコア県の県都で人口18万人あまり。ビスケー湾に面し現代ではスペインでもっとも人気のあるリゾート地。人気の秘密のひとつには美しさだけでなく美味なるバスク料理。スペインで7つある三つ星レストランのうち3つがこの地にあり、旧市街に広がるバル街では手軽にピンチョスが楽しめます。またこの地独特の社交倶楽部として男性だけの美食倶楽部が200以上もあり、美食の街の下支えをしていると言われています。

 

!会員募集中!
日本ガストロノミー協会では料理することを通して食を楽しみ、地方食材や世界の料理を知り、若い料理人を応援し食の楽しみをさらに広げていくために現在会員を募集中です。
会員は3種類で、コンテンツ会員(無料)、賛助会員(月額5000円)、そしてシェフ会員(無料)です。
詳細と会員お申し込みはこちらからどうぞ!